ECサイトの売上を伸ばしたい——でも、日々の業務に追われ、どこから手を付けたらいいのか分からない。
そんな悩みを抱えるEC担当者は、実は少なくありません。

 

とくに季節ごとのイベントや商戦期に向けた「シーズナルマーケティング」は、ECサイトの売上アップの大きなチャンスです。

しかし、ただイベントに乗るだけではECサイトでの売上にはつながりにくく、シーズナルマーケティングの効果を最大化するには、戦略的な企画と運用が求められます。
 

この記事では、「シーズナルマーケティングって実際どう活用すればいいの?」という疑問に答えながら、ECサイトにおける具体的な施策や売上アップにつながる成功のポイントを分かりやすく解説します。
ぜひ、次回のシーズナルイベントにすぐ使えるヒントを、EC運営に役立ててください!

1-1.シーズナルマーケティングとは?

シーズナルマーケティングとは、季節や行事、イベントなどの時期にあわせて展開するマーケティング手法です。
「春の新生活応援キャンペーン」や「クリスマスセール」などが代表的で、消費者の気分や行動の変化に寄り添うことで、購買意欲を高めやすいのが特徴です。
 

ECサイトにおいても、シーズナルマーケティングの施策は売上を伸ばすチャンスが豊富にあります。
ユーザーの検索行動や商品ニーズが季節によって大きく変わるため、EC市場では季節ごとの対策が非常に効果的です。

例えば夏なら「冷感インナー」、冬なら「あったかグッズ」など、時期に応じて注目される商品やキーワードが明確にあります。このように、EC施策として季節ニーズに応じた展開をすることで、売上につながりやすくなります。

 

また、カレンダーに沿ったタイミングで定期的にプロモーションを行うことで、リピーター育成にもつながりやすくなります。
季節感を活かすことで「今、買う理由」が生まれ、コンバージョン率が向上し、ECサイトでの売上アップも期待できます。シーズナルマーケティングは、単発の企画にとどまらず、年間を通したEC売上戦略の柱となる重要な手法です。

1-2.よくある失敗パターン

せっかくのシーズナルマーケティングも、やり方を誤れば、ECサイトの売上につながらないどころか、ブランドイメージを損なう恐れもあります。
ここでは、EC担当者が陥りやすい代表的な失敗例をご紹介します。

●タイミングが遅い

「せっかく準備したのに、すでに話題が終わっていた……」というのは、よくある失敗です。
シーズナルマーケティングはタイミングが命。特にECモールでは、わずか1〜2週間の遅れでも検索トレンドから外れ、売上の機会を逃してしまうことがあります。
売上を最大化するためには、早期の準備が不可欠です。準備はできるだけ早く、遅くとも3か月前から始めるのが理想的です。

●「なんとなく」で実施してしまう

ECサイト上で季節感だけを強調し、「なんとなく夏っぽい」「とりあえずバレンタイン企画」といった曖昧な内容では、ユーザーの心には響きません。
シーズナルマーケティングにおいては、ユーザーが「その時期に何を求めているか」を正確に把握し、そのニーズに沿った商品やストーリーを提案することが重要です。
市場ニーズに即した施策でなければ、期待するEC売上にはつながりません。

●施策の振り返りができていない

キャンペーンを実施したことに満足し、結果の検証を怠るのは、EC運営におけるよくある失敗のひとつです。
ECにおいては、売上やCV率に加え、SNSでの反応やページ滞在時間なども総合的に分析し、次回のシーズナルマーケティングに活かす視点が欠かせません。
改善を積み重ねることこそが、ECサイトの売上を着実に伸ばす鍵となります。

2.成功のための3つの視点

シーズナルマーケティングを成功させるためには、「計画・実行・検証」の3つの視点を意識することが重要です。この3ステップを押さえることで、ECにおける継続的な売上アップが可能になります。

●【計画】市場とターゲットに合った企画立案

まずは「誰に、何を、どの季節に」届けるのかを明確にすることが大切です。
ターゲットの年齢や性別、ライフスタイルをもとに、「この時期にこの商品が刺さる理由」を言語化しましょう。

そのうえで、競合との差別化ポイントや、キャンペーンテーマを設計します。


例えば「梅雨の時期に売れる便利グッズ」や「春の新生活で必要な○○特集」など、季節とニーズを結びつけるのが成功のコツです。

 

<効果的な準備の流れ>

3ヶ月前

・前年の販売実績や市場動向を分析

・目標設定と戦略立案(売上目標・ターゲット選定・重点商品など)

・商品企画

・必要な撮影・クリエイティブ制作の指示出し

・販売施策(早割やセット販売など)の企画立案

2ヶ月前

・スケジュール確定(商品ページ更新・広告配信・メルマガ配信等)

・LPや商品ページの制作・修正に着手

・早割施策の準備

・メルマガ、SNS、LINEなどでの告知スタート

1ヶ月前

・商品ページ最終調整・公開

・広告出稿(リスティング・ディスプレイ・SNS広告など)開始

2週間前

・リマインド配信(メルマガ・SNS)

・レビュー施策や購入特典など、ラストスパート施策の実行

 

3ヶ月前 2ヶ月前 1ヶ月前 2週間前
前年の実績や市場動向を分析 スケジュール確定
(商品ページ更新・広告配信・メルマガ配信等)
商品ページ
最終調整・公開
リマインド配信
(メルマガ・SNS)
利用開始
目標設定と戦略立案 LPや商品ページの
制作/修正に着手
広告出稿開始
(リスティング・ディスプレイ・SNS広告など)
レビュー施策や購入特典など、
ラストスパート施策の実行
商品企画 早割施策の準備
必要な撮影・
クリエイティブ制作の指示出し
メルマガ、SNS、
LINEなどでの告知スタート
販売施策の企画立案
(早割やセット販売など)

こうした事前準備が、EC全体の売上を押し上げる施策成功のカギとなります。
特にECモールでは、モール独自の販促イベントに合わせたシーズナルマーケティングでさらなる売上アップが狙えます。

 

<ポイント>

・前年の売上データを参考に需要のピークを予測する

まず、前年の売上データを分析し、需要が高まった時期を把握します。これにより、今年も同様のタイミングで需要の増加が見込めます。過去の傾向を踏まえてマーケティング施策を適切なタイミングで実施することで、集客効果や売上向上が期待できます。

 

・モールや自社ECなど、販売チャネルごとの動きに対応する

販路としてモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングなど)や自社ECを展開している場合、それぞれに合った施策を講じる必要があります。特にモールでは、ユーザーの行動傾向や販促イベントのスケジュールが売上に大きく影響するため、以下の点を押さえておきましょう。
 

1)シーズン施策は前倒しで計画的に進める
イベントの検索や購入は直前ではなく、1〜1.5か月前から動き始めるのが一般的です(例:バレンタインは1月上旬、母の日は4月上旬)。そのため、
販促施策に向けたWeb上での準備(商品ページの制作や広告の設定など)は、遅くとも2か月前から開始する必要があります。準備が後ろ倒しになると、販売のチャンスを逃すリスクがあるため、シーズナルマーケティングは前倒しで計画的に進めることが重要です。
 

2)モールごとの売れ筋や検索キーワードに違いがある
楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングといった各モールには、それぞれ異なるユーザー層や購買動機、検索行動があります。たとえば、以下のような傾向が見られます。

  • 楽天市場は、女性ユーザーが多く、ギフト需要やポイント還元を意識した購買傾向が強いです。検索ワードも「母の日 ギフト」「誕生日 プレゼント」といったイベント系がよく使われます。
  • Amazonは、男性比率が高く、日用品やガジェットなど「目的買い(欲しいものをピンポイントで探す)」が中心です。レビューや価格を重視するユーザーが多く、「ブランド名+型番」といった具体的な検索が目立ちます。
  • Yahoo!ショッピングは、PayPay経済圏ユーザーが多く、キャンペーン連動による購買が活発です。検索傾向は楽天と似ていますが、特に“価格重視”の傾向が見られることがあります。

このように、モールごとのユーザー像や検索キーワードを理解しておくことで、商品タイトルの付け方や訴求ポイント、広告出稿のタイミングを最適化することができます。結果として、広告の無駄打ちや施策のミスマッチを防ぐことにもつながります。

 

【実行】チャネル活用とプロモーション設計

企画が決まったら、次は“どう届けるか”がカギになります。シーズナルマーケティング施策の成功には、複数チャネルを活用した一貫性のあるプロモーション設計が欠かせません。

特にECにおいては、チャネルごとの特性を理解し、それぞれの強みを活かすことで売上への波及効果が高まります。

目的に応じたチャネルの使い分けが重要

  • メルマガ・LINE:リピーターや既存顧客への即効性が高いチャネル。クーポン配布や限定情報に効果的。
  • SNS(Instagram/Xなど):新規リーチやシェア拡散向け。ビジュアル訴求や共感されやすいコピーが重要。
  • 広告(リスティング・ディスプレイ):検索キーワードと連動させて、タイミングよく見込み客にアプローチ。
  • サイト内バナーや特設ページ:入口から出口まで一貫性をもたせ、ユーザーの購入導線を最適化する。

「早割」や「先行予約」で購買意欲を刺激する

期間限定の「早割」や「先行予約特典」は、購入を迷っているユーザーの意思決定を後押しする有効なフックになります。
たとえば

  • 「〇月〇日までのご予約で○○円OFF」
  • 「先行予約でノベルティプレゼント」
  • 「早期購入者限定ポイント10倍」

このように時限性と特別感を組み合わせることで、「今買う理由」を自然と作ることができます。

ECサイトではこうした訴求が、シーズナルマーケティングと相性が良く、売上拡大に直結しやすいのも特徴です。

 

<効果的な“早割”設計のポイント>

  • 期限は明確に:終了日をはっきりと提示し、緊急感を演出(例:「〇月〇日まで限定」)。
  • 割引率より「限定感・特典感」:値引きだけでなく、「ノベルティ付き」「ポイント増量」なども効果的。
  • 段階的な価格設定も有効
     例)第1弾:早割20%OFF → 第2弾:10%OFF → 通常価格へと段階的に価格が戻る設計で、早期行動を促進。
  • キャンペーン終了後の一貫性も考慮:「早割で買った人が損をしない」設計にするため、後のセール内容や訴求にも配慮が必要です。

 

<早割活用時の注意点>

早割注文の受付期間は、遅くとも特定のタイミング(イベント)の2週間前までとなります。これを過ぎると特典の適用ができないため、期間設定にはご注意ください。なお、開始時期に制限はありません。

このようなルールを事前に設計することで、販促タイミングの精度が高まり、CV率の底上げにもつながります。

統一感と導線の整備も忘れずに

プロモーション全体においては、「一貫したビジュアル」「統一されたキャッチコピー」がとても重要です。
SNS、広告、バナー、特設ページなど、あらゆる接点で世界観を統一することで、ユーザーの印象に残りやすくなり、CV率の向上にもつながります。

また、キャンペーンページの設置やカウントダウン演出も、緊急性を高めて購買行動を後押しします。

 

●【検証】売上以外も含めた効果測定

シーズナルマーケティングを成功させるには、結果を正確に振り返り、次回施策への改善につなげる「検証フェーズ」が不可欠です。
売上だけでなく、流入経路、広告の効果、SNSでの反応、ページ滞在時間などを総合的に分析することで、より実効性のある改善策が見えてきます。
たとえ売上が期待に届かなかった場合でも、課題が明確であれば次回の施策に活かすことが可能です。
このような検証と改善の積み重ねが、シーズナルマーケティングの成果を着実に高めていきます。

 

<分析すべきデータ>

売上やアクセス数の推移:どのタイミングで売上が増加したのか?

・コンバージョン率(CVR):訪問者のうち、どれくらいが実際に購入につながったのか?

・広告やプロモーションの効果:実施した施策の中で、どれが最も効果的だったか?

・早割施策の反応::「早割」や「先行予約」が、集客や売上にどれだけ貢献したか?

 

<期待した効果が出なかった場合>

期待した効果が出なかった場合は、原因を特定し、改善策を検討する必要があります。以下の観点から見直しを行いましょう。

1)価格設定の見直し:競合と比較して価格が高すぎないか、逆に安すぎて品質や信頼性に不安を与えていないかを検討します。

2)訴求内容の再評価:商品やキャンペーンのメッセージが、ターゲット層にとって十分に魅力的かを確認します。

シーズナルマーケティングにおいては、「その時期に欲しい理由」が伝わるかどうかが重要です。

3)広告施策の改善:広告の内容や配信手法が適切だったかを見直し、リーチの最大化を目指します。媒体の選定やクリエイティブの改善も有効です。

4)在庫状況の確認:人気商品の欠品や在庫切れが、販売機会を逃す原因となっていないかを確認します。販売期間中に適切な在庫が確保できていたかを振り返りましょう。

 

3.季節ごとの施策アイデア例

シーズナルマーケティングを効果的に活用するには、季節に応じたユーザー心理とニーズをとらえることがポイントです。ここでは、季節ごとの具体的なキャンペーンアイデアを紹介します。

どれもECにすぐ取り入れられるものばかりなので、売上アップのヒントとしてご活用ください。

●春:新生活応援キャンペーン

新年度のスタートにあわせて、「新生活」「入学・入社」「引っ越し」などをテーマにした企画が効果的です。
家具・家電・文房具・ファッションアイテムなど、ライフスタイルが変わる時期に需要が高まる商品を訴求しましょう。

例:「春からの暮らしを整える10選」「新生活応援!まとめ買いで10%OFF」

●夏:涼感商品プロモーション

気温の上昇とともに、冷感グッズ・日焼け対策・アウトドア用品などが人気になります。
また、夏休みに向けた「レジャー」や「家族向け」企画もおすすめです。

この時期は、シーズナルマーケティングで明確なテーマが立てやすく、ECサイトでの集客や売上につながりやすいのも特徴です。

例:「暑さ対策アイテム特集」「夏のおでかけ応援セット」

●秋:ハロウィン・食欲の秋キャンペーン

秋はグルメ系やイベント性のあるテーマが効果的です。
特にハロウィンは販促と相性が良く、SNS映えを意識したキャンペーンが有効です。

ECでも、イベント性の高いシーズンは話題を集めやすく、売上チャンスが広がります。

例:「ハロウィングッズでおうちパーティー」「秋限定!ほっこりグルメ特集」

●冬:年末年始セール・バレンタイン企画

年末のボーナス商戦やお正月セールは、1年の中でも最大の売上チャンスです。
さらに、2月のバレンタインもギフト需要が高く、ターゲット層を明確にすれば高い反応が期待できます。

こうしたタイミングを逃さず、ECサイトでのシーズナルマーケティングを徹底することで、成果を最大化できます。

例:「年末感謝セール開催中!」「想いを伝えるバレンタイン特集」

 

4.販促カレンダーの活用

シーズナルマーケティングを成功させるには、年間の販促カレンダーを作成することが重要です。
販促カレンダーを活用することで、事前に計画を立て、スムーズにプロモーションを実行できます。

 

<販促カレンダーに含めるべき主なイベント>

1月:お正月セール、新春福袋、成人の日
2月:バレンタイン、節分
3月:ホワイトデー、新生活・卒業・入学シーズン
4月:新年度スタート、花見シーズン
5月:ゴールデンウィーク、母の日
6月:父の日、ボーナス商戦
7月:夏休み、バーゲンセール
8月:お盆、帰省シーズン
9月:敬老の日、秋の味覚フェア
10月:ハロウィン、秋の行楽シーズン
11月:ブラックフライデー、七五三
12月:クリスマス、年末セール、大掃除商戦

 

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5.まとめ

シーズナルマーケティングは、ECサイトにおける有効な戦略のひとつです。季節やイベントに合わせた企画を戦略的に活用することで、売上だけでなくブランドの印象づけやリピート率向上にもつながります。

その一方で、「なんとなく毎年やっているから」といった惰性的なキャンペーンでは、十分な成果を得ることは難しいでしょう。

重要なのは、「誰に、なにを、なぜ今届けるのか」を明確にしたうえで、チャネルやタイミングを最適化し、しっかりと振り返りまで行うことです。

この基本が徹底されていれば、ECにおけるシーズナルマーケティングは継続的な売上向上に貢献します。

明日からできる3つのアクション

  1. 次の季節イベントに向けて、商品ページや広告訴求などWeb施策の企画を2か月以上前から立ててみる
  2. 過去のキャンペーンの効果を振り返り、改善点を洗い出す
  3. SNSやメルマガなど複数チャネルでプロモーション設計をしてみる

今すぐ次のシーズナルマーケティングに向けて準備を始め、ECサイト運営における確実な売上成長を目指しましょう!

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