楽天市場の運用において、クーポンは新規顧客の獲得やリピーター施策といった売上拡大に繋がる重要な販売戦略の一つです。
これまで楽天市場では店舗側がクーポンを発行した場合、実際の利用枚数に対しての割引分のみがコストとなっていましたが、2024年4月から店舗負担によるショップクーポンに対して有料化となったことで割引分+利用枚数に応じての手数料が発生するようになっています。

そうなると、クーポンの出し方はどうすればいいのか?
そもそもクーポンは出さないほうがいいのか?
店舗運用者はどのように対策すれば良いのか考えてしまうところですよね。

クーポンの有料化の具体的な説明とともに今後のクーポン施策について記載します。

 

1. 楽天市場のクーポン有料化の内容とは?

1.1 楽天市場のクーポン有料化について

2024年4月から、店舗が発行するクーポンに関して、新たな手数料制度が導入されました。具体的には、月に50枚以上のクーポンを利用された場合、51枚目から1枚あたり50円(税別)の手数料が発生するようになります。
つまり、2024年3月以前と同じようにクーポン発行していると今まで発生しなかったコストがかかるということです。

 

◆クーポン手数料の計算式◆
利用枚数 × システム利用料(1枚あたり50円)
※毎月50枚まで手数料無料のため51枚目以降の場合

 

例)3,000円以上購入で100円OFFクーポンを発行して、100枚使用された場合のコスト

2024年3月まで)
100円OFFクーポン × 利用数100枚 = 10,000円(税込)

 

2024年4月から)
100円OFFクーポン × 利用数100枚 = 10,000円(税込)

利用数50枚 × システム利用料50円 = 2,500円(税別)/2,750円(税込)

合計12,750円のコスト

 

楽天市場のクーポン有料化により、51枚目の利用からシステム利用料がコストとしてかかってくるため、店舗運営者はクーポン発行の戦略を見直す必要があります。システム利用料を最小限に抑えるためには、発行するクーポンの枚数やタイミング、条件を慎重に検討することが重要です。

ただし、初年度の2024年4月1日〜2025年3月31日の期間は、クーポン利用料の30%が減額される移行措置が適用されます。楽天市場の店舗運用担当者はこの期間を活用して、クーポン戦略を模索して、今後の利益確保を考えていきましょう。

 

1.2 楽天市場の有料化対象のクーポン

<有料化対象のクーポン>

◆ショップクーポン
店舗が自由に発行できるクーポン。
例)割引クーポン(1,000円引きや20%OFF)、送料無料クーポンなど

 

<有料化対象外のクーポン>

◆楽天原資のサービスクーポン
◆運用型クーポン広告(クーポンアドバンス広告)
◆楽天市場広告や楽天グループ広告で広告掲載条件がショップクーポン必須、かつ、有料広告枠を購入している場合
◆サンキュークーポン

 

※参考:2024年4月の情報
https://navi-manual.faq.rakuten.net/promotion/000048650?scid=wi_man_syncsearch

 

2. 上手な楽天市場のクーポン利用方法とは?

2.1 期間や条件をつける

クーポンの発行にはコストがかかるため、むやみにクーポンを発行するのではなく、効果的なタイミングや条件でクーポンを発行することが重要です。
例えば、
・特定の期間だけクーポンを発行する
・一定の金額以上の購入に対してだけクーポンを発行する
など、利用条件を工夫することで楽天市場ではクーポンの効果を最大化することができます。

<期間設定の例>

特定の期間だけクーポンを有効にすることで、消費者の購買意欲を一時的に高めることができます。
例えば、週末だけ、または楽天市場のイベント期間(お買い物マラソン、楽天スーパーSALEなど)だけクーポンを発行することで、その期間中に消費者の購買を促すことができます。
また、期間限定のクーポンは、消費者に「今すぐ購入しなければならない」という緊急感を与えることができ、コンバージョン率を伸ばすことにも繋がります。

<金額設定の例>

一定の金額以上の購入に対してだけクーポンを適用することで、消費者に合わせ買いを促すことができます。
例えば、「5,000円以上の購入で1,000円OFF」というクーポンを発行することで、消費者は5,000円以上の注文をする確率が高くなり、ショップの客単価をアップにつなげることが可能です。

 

2.2 割引額の低いクーポンは発行しない

割引額が低いクーポンは消費者にとって魅力が薄いため、消費者はそのクーポンを利用するメリットを感じづらくなります。
高い割引額のクーポンを適切なタイミングで発行することで、消費者の購買意欲を引き出すことができます。例えば、割引額の高いクーポンを楽天市場のイベント日と合わせたタイミングで発行する方が効果的にクーポンが利用されます。

ただし、割引額が高くなるとコストも増加するため、費用対効果を慎重に考慮する必要があります​。

 

クーポン割引額 効果
10円引き / 39円引き / 3%OFF
500円引き / 1,000円引き / 10%OFF

 

3. 割引額の低いクーポンは発行しない

3.1 ポイント付与

楽天市場では、商品の購入に対してポイントを付与することができます。
これは消費者へのポイント還元となり、売上アップだけでなく、新規ユーザーの獲得が期待できます。
また、ポイント倍率をイベント時に上げることで、リピーターの増加や顧客満足度の向上に繋がることにもなります。
とくに楽天ユーザーはポイントの倍率を気にするため、必要な施策といえます。
なお、クーポンとポイント付与の気をつけるべき点は以下の通りです。

 

種類 注意点
クーポン 楽天スーパーSALEのセールサーチ申請で二重価格チェックの対象となるため、セールサーチに出品を検討する場合は楽天スーパーSALE前にクーポン発行を控える必要がある。
ポイント
クーポンの値引き後の価格に対する倍率でポイント数が計算される

 

<プチ情報>

楽天市場の大きなイベント(お買い物マラソン・楽天スーパーSALEなど)では、「ショップ買いまわり」でポイント倍率が上がります。
楽天ユーザーはポイント付与を好む傾向にあるため、クーポンとポイントの割引率が同じ場合、ポイント付与の方が喜ばれることがあります。

 

3.2 商品価格の調整

商品の価格を適切に設定することも、販売促進の一つの手段です。
まず、下記2つの観点で実際に検索画面を確認して調査します。

・類似の商品との価格差
・同一商品の、競合店舗間での価格差

店舗側の利益率を考慮して、可能な限り調査した価格に合わせていくことが重要です。

なお、目先の売上にこだわることにも注意が必要です。
LTV(顧客生涯価値)やマーケット動向も同時に考える必要があります。
例えば、化粧品などで初回の価格を安くしすぎるとその後の定価でのリピートに繋がらないケースや、価格を下げすぎて楽天市場のマーケットプライスから乖離があると売上が伸びないケースがあります。
当社ではそのようなご相談をいただいた場合、LTVの最大化とマーケットプライスを考慮した提案を行っています。

 

4. 楽天市場のクーポン利用料を確認する

4.1 請求額の計算方法

クーポンのシステム利用料については前述しましたが、ここでは請求時期も含めて解説いたします。
請求額は以下の方法で計算されます。

 

クーポン手数料の計算方法

計算式:(利用総枚数-無料50枚)×50円(税別)

例1)
月間のクーポン利用枚数が50枚の場合:請求額0円

例2)
月間のクーポン利用枚数が80枚の場合:請求額1,500円(税別)

 

<請求時期>
楽天市場のクーポン利用料金の請求時期については以下の通りです。

クーポン利用料金の請求時期は、クーポンが利用された月が基準となり、翌々月に請求が行われます。

 

 

 

5. 楽天市場のクーポン利用のまとめ

今後は、クーポン有料化の開始によりこれまでの店舗運営の方法を変えていく必要があります。
適切な割引額や利用条件の設定、効果的なタイミングでの発行を通じて、お客様の店舗の集客力を向上させましょう。

ベイクロスマーケティングでは、楽天市場の運用代行をしているお客様に対して、効果的なクーポン利用を含め、トータルで店舗運用をサポートしています。

楽天市場の運用代行でお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください!

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