ECサイトのリニューアルには、カート機能の変更やデザインの改善、サイト内の回遊導線の見直しなど、多様なアプローチがあります。
今回はその中でも「回遊導線」に焦点を当て、ユーザーが迷わず目的の商品や情報にたどり着けるような導線設計について解説します。
ECサイト運営に携わり、導線の改修やリニューアルにお悩みの方は、ぜひ本記事を参考にご活用ください。
1. リニューアルの目的確認
ECサイトのリニューアルを行う際には、まず何を目的に実施するのかを明確にすることが重要です。
売上やコンバージョン率(CVR)の向上が主な目的であれば、訪問者の行動や離脱ポイントを詳細に分析し、課題を明らかにする必要があります。
例えば、以下のような課題が見つかった場合、回遊導線の改善が効果的な手段となります。
・サイト全体のCVRが低い
・ユーザー1人あたりのページビュー(PV)数が少なく、回遊率が低い
・主力商品のページへの回遊が少なく、見せたいページが閲覧されていない
これらの課題を解決するには、回遊導線の見直しが必要です。
実際にどのように回遊導線を改善すべきかを詳しく解説していきます。
2. 回遊率を高める導線のポイント
回遊率とはユーザーがサイト内でどの程度多くのページを閲覧するかを示す指標です。
回遊率が高い場合、ユーザーはより多くの商品ページや情報を閲覧し、購買機会が増えるため、結果的に売上の向上が期待できます。
ユーザーが迷わず目的のページに到達できる導線設計がされているサイトは回遊率が高く、離脱を防ぎます。そのため、回遊導線の見直しは重要です。
回遊率が低いページには、以下の特徴があります。
・ユーザーが求める情報にたどり着けない(例:カテゴリページがわかりづらい)
・購入を促す導線が目立っていない(例:カートボタンや購入ボタンの配置が不明瞭)
多くのユーザーは特定の目的を持ってECサイトを訪れますが、目的のページにたどり着けないと、離脱やサイトの評価低下につながる可能性があります。
このような離脱を防ぎ、回遊率を高めるために、効果的なサイト内回遊導線設計のポイントを見ていきましょう!
ポイント1:自社ECサイトのユーザー属性を把握する
ほとんどのユーザーは、何か目的の商品・情報があってECサイトを訪れます。
その目的のページになかなか辿り着けない場合、ユーザーの離脱、ひいてはサイトの低評価につながってしまいます。
そこで把握しておきたいのが、男女比や新規/リピーターの割合、年齢層などのユーザー属性です。
新規ユーザーとリピーターを例に、サイト内導線の貼り方を考えてみましょう。
ECサイト訪問の目的
【 新規ユーザー 】商品購入だけでなく、情報収集を目的とした潜在層も多い
【 リピーター 】前回購入した商品のリピート購入や、関連商品の購入がメイン
回遊導線を設計するときのポイント
【 新規ユーザーの場合 】
新規ユーザーがECサイトを訪れる際、目的の商品や情報に迷わずたどり着ける導線設計が鍵となります。
初めて訪れるユーザーの特性を理解し、以下のような工夫を取り入れましょう。
1.人気商品の導線を強化する
半数以上のユーザーが購入するような人気商品がある場合、その商品ページにスムーズにアクセスできるよう、TOPページやカテゴリページに目立つバナーやリンクを設置します。
これにより、初回訪問時の購買意欲を引き出します。
2.商品を分かりやすくカテゴライズする
商品の購入傾向が分散している場合は、カテゴリー分けやフリーワード検索機能を充実させ、ユーザーが目的の商品を直感的に見つけられるよう工夫します。
特に、商品ジャンルが多いサイトでは、初心者でも迷わず目的の商品にたどり着ける構造が必要です。
3.訪問中にコンバージョンを促す情報提供
新規ユーザーは一度の訪問で購入につながる可能性があるため、魅力的な商品情報をしっかりと表示しましょう。
商品の特徴や使用例を丁寧に説明し、購入を後押しするコンテンツを用意します。
4.競合との差別化を明確に伝える
初めてのユーザーは他店舗と比較・検討しているケースが多いため、自社の強みや商品の優位性を分かりやすくアピールすることが重要です。
レビューや受賞歴、キャンペーン情報などを活用し、他社との差を強調しましょう。
【 リピーターの場合 】
リピーターのユーザーに対しては、再購入や関連商品の購入を促進するための導線設計が重要です。
リピーターの行動特性に合わせた以下の工夫を取り入れましょう。
1.再購入をスムーズにする導線設置
リピート商材がある場合は、再購入ボタンやお気に入りボタンを目立つ位置に配置しましょう。
また、定期購入オプションの導入や「最近見た商品リスト」を表示することで、ユーザーがスムーズに再購入できる環境を整備します。
2.関連商品の提案でクロスセル・アップセルを促進
リピート商材以外の場合、親和性の高い関連商品を提案することで、クロスセルやアップセルを効果的に促します。
例えば、「この商品を買った人はこんな商品も購入しています」などのレコメンド機能を活用すると良いでしょう。
3.新たな気づきを与える仕組み作り
リピーターが購入を目的に訪問した際、新商品やセール情報を目立たせることで、新たな購買意欲を引き出すことができます。
特集ページや目を引くバナーを活用し、リピーターにも新しい発見を提供しましょう。
4.購入履歴やマイページの活用
購入履歴やマイページへの導線を目立つ位置に設置し、リピーターがこれまで購入した商品や履歴を簡単に確認できるようにします。
この仕組みはユーザーの利便性を向上させ、サイトへの信頼感を強化します。
リピーターに特化した回遊導線を設計することで、再購入率を高めるだけでなく、新たな商品の購入や顧客満足度の向上にもつながります。
ECサイト運営においては、リピーターを重要なターゲットと位置付けた導線設計が欠かせません。
ポイント2:ECサイト内でのユーザーの行動を理解する
ユーザーの行動を把握することは、回遊導線の設計に欠かせません。
ユーザーの動きを把握することで、どのページに重点を置いて導線を設置すべきかが見えてきます。
ユーザーの行動データは、GA4などの分析ツールを活用して確認できます。
まずは以下の項目について確認してみましょう。
・アクセス数の多いページ
・ランディング数の多いページ
・サイト内での遷移経路
これにより、ユーザーのサイト内での動きを基に、回遊導線を最適化できます。
行動フローを分析し、データに基づいて導線を設置することで、ユーザビリティを向上させ、回遊率を高めることができます。
ただし、回遊導線は多ければ多いほど良いというわけではありません。
導線を増やしすぎると、ユーザーが混乱し離脱率が高まる原因になります。
ECサイトの階層構造を意識し、ユーザーが直感的に次のアクションを選べるよう、シンプルで分かりやすい導線設計を心がけましょう。
ポイント3:ユーザーの離脱ポイントを把握する
ECサイトの効果的な運営には、ユーザーがどのページで離脱しているのかを把握することが重要です。
ページごとの離脱率を確認し、離脱ポイントを明確にすることで、回遊導線の改善につなげることができます。
広告のランディングページ(LP)は、購入意欲が低いユーザーも多く流入するため、離脱率が高くなる傾向があります。
一方で、LP以外のページで離脱率が高い場合は、ユーザーが求めている情報や商品との不一致が原因である可能性が高いです。
このような場合、アンカーリンクのテキストやバナーデザイン、回遊導線の設置方法を見直すことが必要です。
ユーザー属性やランディングページとの関連性を掛け合わせて分析することで、ターゲットごとに最適な導線設計が可能になります。
たとえば、新規ユーザー向けには明確な案内を強化し、リピーター向けには再購入ボタンや関連商品の提案を充実させるといった工夫が有効です。
適切な回遊導線を設置することで、ユーザーがスムーズにサイト内を移動し、離脱率を低減させることができます。
これにより、ECサイトの回遊率が向上し、最終的には売上やコンバージョン率の改善につながります。
3. 導線設計のイメージ
回遊導線を活用した具体的な設置例
これまで、効果的な導線設計のポイントについて解説してきましたが、実際に回遊導線を設置した場合のイメージについて見ていきましょう。
以下は、回遊導線の設置における具体的な例とその効果です。
【回遊導線のポイントのおさらい】
まずは、回遊導線設計で重要なポイントを振り返ります。
・ユーザーが求める情報にたどり着けるようにすること
・購入を促す導線を目立たせること
これらを意識した導線設計を実現するため、以下の具体例を参考にしてください。
グローバルナビゲーション
グローバルナビゲーションは、全ページに共通して設置される案内メニューのことです。このナビゲーションを適切に設置することで、ユーザーは「どのページに移動すれば自分が欲しい情報にたどり着けるのか」を直感的に判断できます。これにより、ユーザーがスムーズにサイト内を回遊でき、回遊率の向上が期待できます。
カテゴリー分け
情報をカテゴリー別に整理することで、ユーザーはコンテンツを詳細に読むことなく、自分の欲しい情報や商品を見つけやすくなります。特に、商品数が多いECサイトでは、このような分類が回遊導線を整える上で欠かせない要素となり、回遊率を高める効果があります。
アップセル導線
アップセルとは、ユーザーが購入を検討している商品の上位モデルや高価な商品を提案する手法です。たとえば、「こちらのモデルはさらに高性能です」といった提案を導線として組み込むことで、顧客単価の向上を図ります。
クロスセル導線
クロスセルでは、購入予定の商品に関連性の高い別の商品を提案します。たとえば、「この商品を購入した方はこんな商品も購入しています」といった提案が該当します。これにより、顧客の購入点数の増加を狙います。
別商品のライトバージョン
一部のユーザーは、価格が高い商品に躊躇する場合があります。
この場合、価格を抑えたライトバージョンの商品を提案することで、お試し購入を促進します。
アクションに繋がる導線
ユーザーがサイト内で求めている情報や商品にたどり着くだけでなく、次の具体的な行動(アクション)へ自然に誘導できるように設計された導線のことです。
このアクションには、商品購入、問い合わせ、会員登録、カートへの追加など、ECサイトの最終目的や成果に直結する行動が含まれます。
「次にどの行動を取れば良いのか」を明確にすることで、コンバージョン率の向上を図ります。
まとめ
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ECサイトにおける回遊導線の重要性や改善ポイントについてご確認いただけましたでしょうか?
この記事では主要な導線設計のポイントをご紹介しましたが、記事に記載していない導線設計の方法も他に多数あります。
もし、まだ分からない点や具体的な導入方法にお悩みの場合は、ぜひベイクロスマーケティングにご相談ください。
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Written by bay_kusumi